Schoole

#業務理解 #広告 #レポート自動化

AIに詳しいだけでは、売上の数字は読めない

はじめに

日報や広告レポートをAIで自動化したい、というご相談をよくいただきます。数字を集めて並べるだけなら、今はAIを使えば数時間で組めます。

ただ、売上に関わる数字は、どの数字を正とするかを取り違えると、間違った数字が毎朝きれいに届く仕組みができあがります。ここは、AIに詳しいかどうかより、業務を理解しているかどうかで結果が分かれるところだと感じます。

起きたこと

通販企業A社で、広告成果の日次レポートを自動化したときのことです。

受注データの行数をそのまま「昨日の獲得件数」として出すと、ある日は94件でした。一方、社内で獲得として数えている件数は41件です。差の53件は、広告との紐付けがない注文が42件、対象外の商品が7件、プランの切り替えが4件でした。

受注データには注文が94件あるので、94件という数字自体は間違いではありません。ただ、社内の月次の獲得件数は41件の側で積み上げています。日報だけ94件で出すと、「昨日だけ急に伸びた」と読まれてしまいます。試作の段階では、実際にこの取り違えで94件の報告が出かけました。別の日も、受注46件に対して獲得37件、受注44件に対して獲得33件と、毎日ずれがありました。

化粧品の通販企業B社でも、似たことがありました。広告管理画面の「購入」件数が、基幹システムにある実際の注文より多く出ていました。広告費は両者でほぼ一致していて、ずれるのは件数だけです。

最初は、ある1つの広告アカウントで測った「約25%多い」という値を全体に当てはめていました。ところがアカウントごとに測り直すと、ずれ幅はアカウントによって大きく違いました。1つの補正率で全体を直すことはできません。そこで、広告どうしの比較は同じアカウントの中だけで行い、採算は基幹の数字で確かめる、という2段の見方に変えています。

なぜ気づけたか

どちらも、AIの使い方ではなく、業務の側から気づいています。

A社では、社内で「獲得」と呼んでいるものが何を含み、何を除いているのか(テスト注文、不正な注文、プランの切り替え、広告コードのない注文など)を、担当の方の運用から確かめました。そのうえで集計の定義を決めています。

B社では、広告費は合っているのに件数だけがずれる、という点から計測の仕組みの違いを疑い、アカウントごとに測り直しました。ずれる理由まではまだ特定できていないため、アカウントをまたいだ比較はしないことにしています。

AIは、指定した数字を正確に集めてくれます。ただ、どの数字が会社にとっての正解なのかまでは教えてくれません。そこを決めるのが業務の理解なのかなと感じます。

自社で進めるなら

1つ目は、自動化する前に「この数字は、社内のどの数字と一致すべきか」を決めることです。月次の会議で使っている数字と、日報の数字の定義を揃えます。

2つ目は、最初の1〜2週間、自動で出した数字と手で出していた数字を並べることです。差の内訳を説明できるまで確かめます。

3つ目は、広告管理画面の数字を、基幹システムの数字の代わりに使わないことです。管理画面の数字は同じ条件の中での比較に使い、採算は基幹の数字で見ます。

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